2026年5月11日

こんにちは、沼津せせらぎ歯科クリニック 院長の田中です。
「朝起きた時に、顎の疲れや重だるさを感じる」 「家族から歯ぎしりを指摘されたことがある」
こうしたサインを、ただの癖だと思って見過ごしていませんか。実は、睡眠中の歯ぎしりや食いしばりによって歯にかかる力は、食事の時の数倍から、時には数百キロにも及ぶと言われています。
今回は、歯を静かに破壊する「歯ぎしり」の弊害と、大切な歯を守るための当院独自のマウスピースについてお話しします。
⚡️歯ぎしりが引き起こす「4つのリスク」
「たかが歯ぎしり」と侮ってはいけません。睡眠中に無意識で行われる歯ぎしりや食いしばりは、お口全体に深刻なダメージを蓄積させていきます。
歯が削れる・割れる(咬耗と破折)
歯の表面のエナメル質が削れ、象牙質が露出することで「知覚過敏」の原因になります。さらに強い力が加わると、健康な歯であってもパカッと割れてしまい、最悪の場合は抜歯を余儀なくされることもあります。
詰め物・被せ物の脱離や破損
せっかく精密に作ったセラミックや被せ物も過度な力には耐えられません。頻繁に外れたり、割れたりする場合は、歯ぎしりが原因である可能性が高いです。
顎関節症と筋肉の痛み
顎の関節に負担がかかり、「口が開けにくい」「カクカク音が鳴る」といった症状が出ます。また、顔周りの筋肉が常に緊張状態になるため、朝起きた時の頭痛やひどい肩こりを引き起こすことも珍しくありません。
歯の根元の削れ(アブフラクション)・知覚過敏
歯の根元部分に力が集中し、楔(くさび)状に削れてしまう現象です。ここからむし歯になったり、知覚過敏が悪化したりします。
⚠️ 歯周病を加速的に悪化させる「揺さぶり」
歯ぎしりがもたらす弊害は、顎関節症や歯が削れることだけではありません。特に「歯周病」を患っている方にとって、歯ぎしりは非常に恐ろしい存在です。
歯周病によって歯を支える骨が少なくなっている状態は、いわば「地盤の緩んだ家」です。そこに歯ぎしりという「繰り返される巨大な地震」のような力が加わると、歯は猛烈な勢いで揺さぶられ、骨の破壊が加速度的に進んでしまいます。
これを「咬合性外傷(こうごうせいがいしょう)」と呼び、どれだけ丁寧に歯周病治療を行っても、この「力」のコントロールができていなければ、歯を残すことは難しくなります。
(私自身、歯周病専門医として歯周治療を行う中で、咬合性外傷をいかにしてコントロールしていくかが非常に重要だと考えています。)
🏛️ 当院のこだわり:院内技工士が作る「厚さ1.5mmの精密なマウスピース」

当院で作成されたマウスピース
マウスピースならどれでも同じというわけではありません。当院では、患者さまの負担を最小限に抑え、効果を最大限に引き出すために、以下のこだわりを持って作成しています。
1. 院内技工士によるオーダーメイド製作
沼津せせらぎ歯科クリニックでは専属の院内技工士が在籍しています。歯科医師と技工士が密に連携し、患者さまお一人おひとりの複雑な歯並びや噛み合わせを細部まで反映させた、精密なマウスピースを製作します。
2. 「厚さ1.5mm」の違和感のない薄さ
マウスピースと聞くと、ボクサーが使うような分厚いものを想像されるかもしれません。しかし、当院のマウスピースは厚さ約1.5mmのプラスチック製と非常に薄く作られています。寝ている間の違和感が少なく、初めての方でもスムーズに慣れていただくことが可能です。
3. 「ゴム製」をおすすめしない理由
市販品や一部の歯科医院で見られる柔らかいゴム製(ソフトタイプ)のマウスピースは、当院では原則としておすすめしておらず、製作も行っていません。 柔らかい素材は、かえって食いしばりを誘発して筋肉を緊張させたり、歯にかかる「力の負担」を適切に分散できなかったりするためです。当院では、力をしっかり受け止め、顎の関節を守ることができる適切な硬さの素材を採用しています。
Okeson JP. The effects of hard and soft occlusal splints on nocturnal bruxism. J Am Dent Assoc. 1987 Jun;114(6):788-91.
ハードタイプおよびソフトタイプのマウスピースが夜間の筋活動に及ぼす影響を調査した。10名の被験者に対し、それぞれのマウスピースを装着した状態で夜間の筋活動を記録した。ハードタイプでは10名中8名において筋活動を有意に減少させた。一方、ソフトタイプは、1名においてのみ筋活動を有意に減少させ、10名中5名において筋活動を統計的に有意に増加させた。
🛡️ 健康保険で作成が可能です
この精密なオーダーメイドのマウスピースは、健康保険の適用範囲内で作成することが可能です。
当クリニックには、日本歯周病学会の専門医・認定医が在籍しています。私たちは、歯の病気を「細菌」と「力」の両面から診断します。
「歯周病の進行を止めるために、まずは寝ている間の『力』を逃がす処方を行いましょう」 「マウスピースで歯を守りつつ、プロによるクリーニングで細菌のコントロールも並行しましょう」
このように、専門医の視点から、今のあなたに最適な「力の管理」と「細菌の管理」を組み合わせた治療プランをご提案します。
📞 最後に
歯ぎしりは無意識のうちに行われるため、自分でやめることは困難です。しかし、適切なマウスピースを使用することで、大切な歯と骨を守ることは十分に可能です。
「歯を一生守り抜きたい」「顎の痛みをなんとかしたい」
そんな思いをお持ちの方は、ぜひ一度沼津せせらぎ歯科クリニックへご相談ください。技工士と専門医とであなたの眠りと歯の健康を全力でサポートいたします。
お電話、またはホームページからお気軽にご予約ください。

著者プロフィール
田中 慧介(たなか けいすけ)
沼津せせらぎ歯科クリニック 院長
【経歴】 昭和医科大学歯学部卒業。大学病院の歯周病科にて研鑽を積み、専門的な治療技術を習得。現在は地元である沼津市にて「沼津せせらぎ歯科クリニック」を開院し、地域医療に貢献している。
【保有資格・所属学会】
歯学博士
日本歯周病学会認定 歯周病専門医